過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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388:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:51:56.09 ID:Ae62FiCR0
まぁ、それならしょうがない。電車の駅まで連れてったげよう。
「アラ〜、いいのカイ? ありがとうネェ、おじょうチャン。東京にも良い人いるノネェ」
「アタシもぶっちゃけ東京に来てまだ日は浅いけどねー♪」
389:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:53:55.65 ID:Ae62FiCR0
「ところで、はて、おじょうチャンは、女子高生カイ? その歳で留学だなんて偉いワネェ」
ペースを合わせてゆっくり歩いていると、ふとおばあちゃんがアタシの服装を見て言った。
偉い?
390:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:55:22.98 ID:Ae62FiCR0
「――そっか」
当たり前のように言われると、改めて自分は他の人と違うのかと思い知らされる。
家族の絆さえ、アタシは育んで来られなかったことを。
391:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:57:01.91 ID:Ae62FiCR0
おばあちゃんは、自分のコーヒーにミルクを三杯入れた。砂糖は入れなかった。
「変わった飲み方だねー」
「アナタこそ、タバスコいつも持ち歩いてるノ?」
「にゃはは、まぁねー♪」
392:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:58:53.39 ID:Ae62FiCR0
「そう」
おばあちゃんは、否定も肯定もしなかった。黙って、アタシの次の言葉を待っているようだった。
「アタシは――」
393:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 01:01:17.19 ID:Ae62FiCR0
頬杖をつき、窓の外を眺める。
アタシと同い年くらいの女の子三人グループが、キャッキャと笑いおどけながら歩道を歩いて行くのが見える。
「ラクだけど、つまんなかった。
394:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 01:03:54.77 ID:Ae62FiCR0
外に向けていた顔をふと正面に直すと、そこにはやっぱり笑顔があった。
何でこんな――。
「何があったかは知らないケレド、そのミカちゃんって子と志希ちゃんはお友達だと思うワ」
395:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 01:06:20.68 ID:Ae62FiCR0
美嘉ちゃん――きっとまだ、怒ってるんだろうな。
ストイックに仕事と向き合ってきた彼女にとって、アタシの言動は許されざるものだったはずだ。
ダメだよ。
396:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 01:08:25.62 ID:Ae62FiCR0
「何でも思いようになるなら、アタシ、こんな嫌な思いしてるはずないと思うよ?」
「自分の気持ちに正直に生きる、という事ヨ」
おばあちゃんは、組んでいた手を解き、それを私に差し出した。
397:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 01:09:39.66 ID:Ae62FiCR0
「雨が降るね」
外に出ると、空気が湿っている。風が運んでくるそれは、嵐の匂いだ。
「天気予報?」
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