過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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439:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 23:19:38.33 ID:Ae62FiCR0
「えっ?」
ふと、私の手元に眼鏡が――いや、正確に言えばサングラスだ。
掛けていたそれを、乱暴に私に預けるのは、ヤァさんしかいなかった。
440:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 23:22:03.43 ID:Ae62FiCR0
「グッ、ウアァァ――!!?」
支社長は額を両手で押さえ、蹈鞴を踏みながら二、三歩後ずさり、堪らずしゃがみ込んだ。
ヤァさんも、痛そうに頭を押さえている。
441:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 23:24:35.70 ID:Ae62FiCR0
「うぅ、我ながらキクぜぇ」
今度はヤァさんも蹈鞴を踏んだ。
まるで農作業の間に休憩でもするかのように、天を仰ぎ、額を片手で押さえている。
442:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 23:28:00.91 ID:Ae62FiCR0
「ごめん、ヤァさん。ストップ」
いつの間にか、プロデューサーは私達の後ろに回っていた。
振り返ると、どうやら普段通りに落ち着いた様子のプロデューサーと、もう一人――。
443:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 23:31:25.43 ID:Ae62FiCR0
えっ――と支社長の口から蚊のように小さい声が漏れ出る。
「私の留守中を狙って熱心に外部の人間を招き、この会議室で良からぬ相談事を行っていたようだな?」
そして、常務の口調からは、年上の部下に対する丁寧さが消えた。
444:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 23:33:45.62 ID:Ae62FiCR0
「草の者、って」
小さく突っ込んだのはチビさんだ。私も、どこの時代劇だと突っ込みたくもなる。
だが、常務は真顔だった。意外と、この業界では普通――なのかしら。
445:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 23:37:51.53 ID:Ae62FiCR0
ヤァさんは、額から流れた血で顔中が真っ赤だ。
一方で、プロデューサーは――よく見ると、右手の甲が血で滲んでいた。
「あぁ、これッスか?」
ヒヒッ、と笑いながらヤァさんは手で血を拭う。
446:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 23:40:02.18 ID:Ae62FiCR0
「次からは気をつけるように」
呆れたように言い捨てた常務に、ヤァさんは「ウッス」と雑に会釈した。
「じょ、常務!? 馬鹿な――!!」
447:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 23:41:57.36 ID:Ae62FiCR0
「む、村上――う、うわぁ!?」
そのままズルズルと支社長を引きずり、男達は部屋の外に退場していく。
最後の男が律儀に深々と頭を下げ、丁寧にドアを閉めて去って行った。
448:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 23:44:07.03 ID:Ae62FiCR0
「え、そんだけ? やった、ざっス」
ヤァさんに倣うように、プロデューサーも黙ってお辞儀をしてみせる。
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