過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
1- 20
509:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:14:35.88 ID:m6szqZZ10
「君には、おそらくここの仕事は退屈なんだろう。
 若く未来のある人間が、自分の力を持て余してはいけない」

 体良く自主退職を促しているのかとも思ったが、この館長さんは良い人だ。

以下略



510:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:17:58.28 ID:m6szqZZ10
 一年目、本社の事業三課に配属された。

 そこで一緒になったアリさんとは、当時から先輩後輩の間柄だった。

 彼は真面目で、俺は不真面目だから、アリさんはさぞかし扱いに困っただろうと思う。
以下略



511:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:20:27.02 ID:m6szqZZ10
 その子は、優秀だったと思う。

 ビジュアルはもちろん、ダンスもボーカルも、水準以上のものは優に備わっていた。

 オーディションを受ければ、同時期にデビューしたアイドル達などは相手にならず、楽々と合格できてしまう。
以下略



512:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:21:45.75 ID:m6szqZZ10
 アリさんは彼女を励ました。もちろん、俺もフォローした。

 次は上手くいくさ、頑張ろう――そう言うと、彼女も微笑みを返してくれた。


以下略



513:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:23:49.26 ID:m6szqZZ10
 最初は、仕事が忙しくて辛いのかな、と思った。

 無理しないで、キツかったらいくらでも休んでいいぞ。

 たとえ一日二日休んだ所で、今の君ならそう信用を無くすような事も無いだろう。
以下略



514:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:25:44.47 ID:m6szqZZ10
 彼女は言った。

 プロデューサーは、「これなら出来る」と私に期待して仕事を託してくれるのに、私はそれに応えることができない。

 私なりに頑張れば頑張るほど、どんどん自分が見えなくなっていく。
以下略



515:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:27:34.96 ID:m6szqZZ10
 とあるライブの日だった。

 単独ライブではないが、そこそこ宣伝に金を掛けてもらっていた、小さくない規模のものだ。


以下略



516:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:30:29.12 ID:m6szqZZ10
 その日の仕事は、当然キャンセルとなった。

 それどころか、培ってきた業界への信用が台無しになったとして、346プロは彼女の起用を当面見送るとした。

 アリさんは上層部へ直談判しに行ったが、無駄だった。
以下略



517:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:33:41.48 ID:m6szqZZ10
 この会社は――というより、この国は良くない意味で優しい。

 落ちこぼれの尻ぬぐいを、他の優秀な奴がやらされるシステムになっているのだ。

 正直者が馬鹿を見る、というのであれば、尻ぬぐいさせる側に回った方が良いに決まっている。
以下略



518:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:36:46.35 ID:m6szqZZ10
 奥多摩支社に配属されて三年が経とうとした頃、翌年度の本社入りが決まった。

 鬱になった社員の穴埋めで、事業三課に戻る事になったのだ。

 上手いことやりやがって、と思ったが、どうやらソイツの鬱は本物だという。
以下略



769Res/709.86 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice