過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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579:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:29:20.14 ID:m6szqZZ10
 握り拳を口元に当て、少し唸った後、職員はとりあえずと言った様子で渋々頷いた。

「他の自治体にもヒアリングをして、こちらとして支障が無いと判断できましたら、いただいたチラシと併せて掲示しておきます」

「ありがとうございます。その際は、お手数ですが私にもご一報いただければ幸いです」
以下略



580:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:32:01.86 ID:m6szqZZ10
 課長からは、新たなアイドルをスカウトしてこいとのお達しを受けている。

 だが、当然に俺はそれをする気などサラサラ無かった。

 一方で、俺が今行っているのは、俺が最も嫌いな仕事でもあるというのが、どうにもままならない。
以下略



581:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:34:45.82 ID:m6szqZZ10
 数年おきに転職を繰り返してきた俺には、培ってきたスキルなど何一つ無い。

 あるとすれば、色んな業界を渡り歩く中で得た、各方面の浅い知識と、浅い人間関係。

 それだけが俺の武器だった――いや、今はそれを武器にしなくてはならない。
以下略



582:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:37:24.67 ID:m6szqZZ10
「――その呼び方はやめてください」
「ハッハッハ、水くさいことを言うな、元気にしていたかね?
 ん? 君はもうここの職員じゃないのか」

 その爺さんは、何かの契約のための印鑑証明を取りに来ていたらしい。
以下略



583:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:41:36.14 ID:m6szqZZ10
 ――――。

 まさか、またここに来ることになるとは――。


以下略



584:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:43:51.27 ID:m6szqZZ10
 ピーというあだ名は、この人が付けたものだった。

 配属されて三ヶ月ほど経った頃、現場にてバーベキュー大会が催されたのだ。

 てっきり、車を出せる人ので数台乗り合わせて、どこかの河原か山で行うものとばかり思っていたが、全然違った。
以下略



585:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:48:16.99 ID:m6szqZZ10
「よーく洗っといたから心配すんな、ワハハ!」

 いや不衛生にもほどが無いっすか!? という俺の心の叫びは当然無視されて、宴会が始まった。


以下略



586:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:50:56.72 ID:m6szqZZ10
「そうそう! はぁ〜〜女っ気の欠片も無かったお前がなぁ、さぞかし楽しいだろ毎日、なぁ? ワハハハ!」

 扇子を扇ぎながら、その人は豪快に笑う。

 俺は閉口した。彼が思うほど華やかな世界ではない事を、彼に知ってもらう必要も無いように思えた。
以下略



587:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:54:05.76 ID:m6szqZZ10
 本来であれば、事務所に帰らなくてはならなかった。

 以前、役所で会った爺さんに紹介してもらった先生との約束が、明日にセッティングされていたのだ。

 対応を誤りたくはない厄介な相手なだけに、その準備はなるべく念入りに行っておきたかった。
以下略



588:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:56:40.15 ID:m6szqZZ10
 とにかく、今日はできる限り酒を飲まず、早く事務所に帰らなくてはならない。

 かと言って、ウーロン茶しか頼まない俺をこの人達が許すはずが無い。

 なのであの店員には、先ほどトイレに行くフリをした際、こっそりお願いしている事がある。
以下略



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