谷間の百合 (オリジナル百合)
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42: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 18:34:48.14 ID:Li1QhE+X0
池について、足元を懐中電灯で照らした。虫の声が凄い。夜はあまり近づいたことがなかった。
先が見えないので、昼間よりも不気味に感じる。

桟橋の歩ける所まで行くと、川と池が交差する地点で何かゆらゆらと動いていた。
びくびくしつつも、懐中電灯の光を当てる。

「船だ、あったあった」

くるくると回りながら、流されていく。

「ミソラ、古くなってるので気をつけて」

「分かってるよ」

一隻、また一隻と船がたどり着く。

「ナツ、手」

「手?」

「手、握って」

「……ミソラ?」

彼らには、もう愛してるなんて伝えられない。
抱きしめてあげることもできないのだ。
見送る時には、後悔しかできないのかな。
和紙に透けて蝋燭が揺れる。遠ざかっていく。
生きている者の心に、たくさんの傷を残して。



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