木村夏樹のむきだし
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12: ◆ao.kz0hS/Q[saga]
2017/02/25(土) 22:01:19.60 ID:CYpm3u/s0
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アタシたちの事務所が入るビルの入り口を少し通り過ぎたところで道端にバイクを停め、事務所の入っている階を眺めると窓ガラスは暗い。
アイツはまだ帰ってきていないようなので、バイクシートに腰かけながら待つことにした。


「さむ……………」


もう季節的には春だが、夜になればライダースを着ていても寒い。
だけどそのときのアタシには澄んだ冷気がカラダを清めてくれているような気がして、寧ろ心地いいくらいだった。

ひょっとしたら今日はもう事務所に帰ってこないのかもしれないとも考えたが、かといってアパートに帰ったとしても眠れるとは思えなかったので構わない。

人通りは疎ら、行き交う車はほとんどなく、時折風に吹かれた街路樹がざあざあと葉音を鳴らすだけ…。
何かを考えるには絶好の環境だろう。
アタシには考えるべきことがたくさんあるはずなのに…何一つ考えるということが出来なかった。
それなのに、頭の奥は冴えわたっているように冷たく…その冷たさは脳みそに夜風が直接吹きつけられているようにも感じられた。


見るともなしに、聞くともなしに、ひたすら待つ。

聞き覚えのあるエキゾーストノートを捉えた頃には、全身の骨が軋むほどに身体はガチガチ。

それから数分して事務所に光が灯ったことを確認したアタシはシートから腰を上げた。


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