木村夏樹のむきだし
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11: ◆ao.kz0hS/Q[saga]
2017/02/25(土) 22:00:24.73 ID:CYpm3u/s0
豚の叫び声も聞こえない、照明の付いた正常な空間に戻ったその瞬間、無意識が押し止めてくれていたモノが逆流してきた。


「う゛っ゛!!??」


口を両手で押さえて近くのトイレに駆け込んだまでは良かったが、個室に入る余裕はなく洗面器にしがみつく。


「う゛えぇぇええええええ゛え゛え゛え゛!!!」


びたびたびた、と威勢の良い音を立ててアタシの口から黄土色の滝が流れた。
膝は震え、立っているのがやっと。
一歩も動くことが出来ないまま、胃の中が空になるまでゲロりまくった。


「はぁーーーっ!はぁーーーっ!ぐっ…はぁっ!はぁ、はぁ」


数分間悶え苦しみ、やっと落ち着いたところで口を漱いて口の中のザリザリした残留物を吐き出した。
目の前の鏡の中のアタシは自慢のリーゼントヘアがみっともなく散らかり、目と鼻と額から一杯に汁を垂れ流している。
あまりの情けなさに、逆に笑えてきてしまう。


「は……はは……これでも数時間前まで…アイドルとしてテレビに…………っ!」


そして思い出してしまった。
アタシたちが今日テレビで歌を披露できたのは何故だったのか。
最近良い仕事が増えてき始めたのは何故だったのか。
ダレがナニをしていたからなのか。


「う゛っ゛!! お゛お゛お゛っ!! お゛え゛え゛え゛〜〜〜っ!」


もう出せるものなんて何も残っていないのに、胃が収縮を止めない。


「はぁぁっ!あ゛ぁ゛ぁ゛っ! もう…でねぇよぉ…カンベンしてくれぇ………う゛っ゛! お゛え゛え゛え゛っ!」


嘔吐感だけが延々と続く…出そうにも何も出せない、いつまでも出し終わらない、だからカラダはいつまでも出そうとし続ける…地獄だった。


「はぁ゛〜゛〜゛、はぁ゛〜゛〜゛、はぁ゛〜゛〜゛」


一体どれだけの時間そうしていたかわからないが、限界だと100回ぐらい思った頃にやっと胃の動きが収まってきた。
その頃には喉はガラガラ…たぶん胃液で灼けた所為だろう。
意外なことに時計を見てみればだりーと別れてからまだ一時間ほどしか経っていなかった。
覚束ない足取りでどうにか駐車場にたどり着き、バイクに跨って人心地。
ところどころバグっていた体の感覚が、慣れ親しんだエンジンの鼓動で解されて正常に戻っていくように感じた。
ヘッドライトの向かう先はアタシのアパートじゃなく……。


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