木村夏樹のむきだし
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15: ◆ao.kz0hS/Q[saga]
2017/02/25(土) 22:06:04.84 ID:CYpm3u/s0

「夏樹ちゃん…は…はなしを…」

「う゛るせぇぇぇぇえ゛え゛っ!!」


PはPで今にも死ぬんじゃないかってくらい泣きそうな顔してるし…泣きたいのはこっちだってのに…。


「は…………はは…くくっ……ははは……ひゃははははっ………」

「な、夏樹ちゃん…?」


何かのメーターが一周して大笑い。からっからに乾いた笑いが腹の底から溢れてきた。


「ははは……そうか…アタシの思い違いだったわけだ……くふふふっ…最近売れて゛きた゛と゛…ファンが増えて゛きたと思ってたのも……そうか…全部アンタのおかげか……はははっ………」

「ち、違う…それはちがうよぉ……」

「ははは…なにが?」

「確かにあのフェス以来、お仕事が増えてきたのは…○○社長に…お、お願いしたからだけど…っ! でもっ、それはただのきっかけなんだよ…!」

「はぁ?」

「そのきっかけを活かして…チャンスをモノにして…ファンを増やしてこれたのは…夏樹ちゃんと李衣菜ちゃんだったからなんだよ!」


これまで見たことのない必死な顔にアタシは思わず息を呑む。


「だっ、だったら゛…っ! そんな゛…枕なんてことしなくても゛…いつかは…頑張ってれば…いつかはここまで来れたんじゃないのかよ゛…っ!?」

「ぁ……ぅ…ごめん…ごめんね……」

「は? なんだよ?」

「ウチみたいな小さなプロダクションじゃ…いや違うね…ボクじゃだめだったんだよ…」


そのときPは笑ったように見えた…。でもそれが笑っていたはずがない。だって同時にボロボロと大粒の涙を流していたんだから。


「ぼ、ボクの力じゃ…きっかけを作ってあげることさえできなかったんだ…ボクには小さな仕事しか…そんなのをいくら続けたって、
 せいぜい小さなライブハウスが埋められるくらい…そんなんじゃスターにはなれないんだよ…」

「そ…んなの…やってみなきゃ…わかんないだろ…」

「ボクは…っ! 初めて…夏樹ちゃんの歌を聴いたその時から…夏樹ちゃんが……夏樹ちゃんがスターになるための手助けをしたいって………。
 でもボクが役に立つにはもう…これしか方法がなかったんだ……。ごめん…ボクの勝手で…ごめん…夏樹ちゃん…」

「は………んだよ、それ……」


スターになるにはアタシのロックだけじゃダメで、アイドルなんてやって…でもアイドルもやってみれば案外悪くなくて…アタシは…ハートがロックならアイドルでもなんでも良くて…。
でも、こんなことを足掛かりにするだなんて……!そんなの全然…っ!
何もすぐに売れなくたって良かったんだ…。少しづつで良いから実力で…自分たちのロックと音楽でチャンスを掴んで、ファンを増やしていけば良かったのに…。

いや…。

そうなるはずだったんだ…。
そうなるはずだったんだよ!!
それを…コイツは……っ!


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