32: ◆ao.kz0hS/Q[saga]
2017/02/25(土) 22:31:14.44 ID:CYpm3u/s0
◆◇◆◇◆◇◆
「私…Pさんのこと…好き、なんだ…」
ギターを脳天に叩き込まれたような衝撃だった。
相談したいことがあるとだりーに言われて、夜の事務所で話を聞いてみればこれだ。
Pは外出中で、さっき事務のおねぇさんも帰ったから事務所にはアタシたち二人だけ。
だから、思わず出してしまったしゃっくりみたいな変な声を聴いたのはだりーだけ。
適当なデスクから拝借した椅子に座るだりーは頬を赤らめてモジモジとしていて、デスクに腰かけていたアタシは尻がズレ落ちそうになった。
「え…Pって…アタシたちのプロデューサーの…?」
「そ、そうだよ、他に誰がいるのさっ!」
言われてみれば、ちょっと前にだりーが熱っぽい視線をPに送っていたことを思い出す。
そこでひょっとしてアタシは、最近だりーのことを見ているようで見ていなかったのかもしれないと気付いた。
アタシの心の支えであり、日常の象徴であるだりーのことは同じ空間にいる時にはずっと見ていた。
でも文字通りアタシが見ていたのはだりーだけで、だりーが何を見ているのかなんて近頃はちっとも気にしていなかった…。
「いや…でも…アイツ…」
「え? 何? Pさんがどうかした?」
だりーが汚れを知らない真っすぐな瞳を向けて聞いてくる。
もちろんそんなだりーにPが裏でしていることなんて言えるわけがない。
「アイツ……女顔だし、背もちっちゃいぜ?」
「うーん…私も最初はそう思ってたんだけどね、いつからかそんなのはどうでもよくなってきたんだっ! へへっ。
それに、寧ろそれが良いっていうか…女の子っぽいのに業界を必死に駆け回って、お仕事を取ってきてくれて…それってすごくロックじゃない!?」
「はっ…」
「………むぅっ」
失笑じみた苦笑いをうっかりとこぼしてしまう。
その所為か、だりーの表情が少し曇ったように見えた。
いやしかし、ロックだって…? アイツが?
アタシからすれば、アイツほどロックから程遠いヤツはいないんだが。
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