5: ◆ao.kz0hS/Q[saga]
2017/02/25(土) 21:51:45.75 ID:CYpm3u/s0
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収録後、出演者たちがそそくさと楽屋へ向かう中、アタシとだりーはスタジオの端でセットを眺めながら立ち尽くしていた。
「私たちがこれに出てたなんて…夢みたい…」
「あぁ…いや、今日からはこれがアタシたちのリアルだな…。もっとアガって行くぜ?」
「なつきち……うんっ!」
そんなルーキー感まる出しのアタシたちの背後から聞きなれた声を掛けられる。
「夏樹ちゃん!李衣菜ちゃん!お疲れ様〜!」
女にしてはちょっとハスキーな、だが男にしては高すぎる声に呼ばれて振り向いてみれば、小さな姿がこちらにぱたぱたと駆け寄ってくる。
「あっ! Pさん! どうでしたか!? 私たちの歌は」
「完璧だったよ〜! ようやくここまで…ぐすっ…これでやっとふ、二人を…日本中に知ってもらえる……うぅぅっ」
「はぁ〜〜〜アンタまで泣くんじゃねーよ!」
「わぷっ」
走ってくるなり泣きべそをかき始めたのがアタシとだりーのプロデューサーだ。
その頭をとりあえずガシガシと撫でると子犬っぽい呻き声を出したのが面白くて、つい髪がぼさぼさになるまで続けちまった。
身長はだりーと同じくらい。体つきは細く、頬はつきたての餅みたいに白くて柔らかそう。
アタシのよりもキューティクルに溢れたサラサラの頭髪は念入りにぼさぼさにしてやっても、頭を一振りすれば元通りになる。
前髪の下から覗くクリクリの瞳はビー玉みたいに澄んでいて、縁取る睫毛はマスカラ要らず。
いわゆる女子力の塊みたいな存在だが…オッパイは無い。
当然だ、なんせ男なんだから。
10人中7人が女だと誤認するようなコイツがアタシたちのプロデューサー。
チワワみたいにちっちゃくてキャンキャン鳴いて、女の子みたいな可愛い男がアタシたちのプロデューサーなんだ。
あぁ、10人中の残りの3人は美少女って言うんじゃないかな。
「ほーら、シャキッとしろ」
「んもう! 夏樹ちゃんはいつもボクをからかうんだから! ボクの方が年上なんだよ!?」
「ははっ、わかったわかった」
20代半ばのオトナの男が頬を膨らまして抗議するのはどうなんだ?と内心思いつつ、いつものように軽くいなしてから改めてお互いを労い合う。
「でもホントにすごいよ! ウチみたいな小さいプロダクションのアイドルが出演できたなんて!」
だりーが思い出したようにPさんの両手を掴み、ブンブンと上下に振り回して喜びを目いっぱい表現する。
「わ、わ…っ!」
「Pさんすごい…ホントに…すごい…っ!」
こうして子犬みたいな二人が手を取り合っているとやっぱり女子のダチ同士にしか見えない。
だりーのあまりの喜びぶりに戸惑いながらもPさんは嬉しそうだ。
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