11:名無しNIPPER[saga]
2017/03/14(火) 13:08:25.91 ID:ngic1vLj0
- 大聖堂 勇者選定臨時会場 -
大理石の床に、金色の額縁にはいった絵画を見つめていた。ひとつひとつが緻密に計算されたであろう芸術を前に、感嘆とした息を漏らす。
カケル「(ふわぁ〜〜〜すげぇ……つうか、どんだけ金かけたらこんなもん建つんだよ。教会なんて金の権化だな)」
しかし、なにからなにまでが見事というのも事実だった。お世辞抜きで、見惚れるとはこのことなのだろう。生まれて初めての経験だった。
ベニ「受け付けはあそこ」
なんの? と思わず聞き返そうとしたところで思考が冷静になり現実に引き戻された。
違うよ。俺は受け付けにしにきたんじゃないから。
まずは、誤解を早急に解かなければならないな……。
ジョル「――おや、ベニじゃないか。こんな所に来るとはめずらしい。明日は雪かのう」
ベニ「ジョル、ひさしぶり」
振り返ると、ジョルと呼ばれた老人は、無精髭の浮いた顎を擦って口元で笑った。
髪はほとんど白く、シワの目立つ手の甲には、黒っぽい斑点が無数にある。齢六十ぐらいだろうか。目を細めて微笑で頷いていた。
ジョル「そちらの子は?」
ベニ「勇者の選定に来た子」
ジョル「ふむ……?」
ほどなくして、ジョルの顔色が呆れたものに変わる。
ジョル「少年。夢を見るのはかまわんが、君には才能がないように見えるのぅ」
カケル「(才能ないのは俺だってわかってるよ)」
ベニ「……そう見えるのは、ジョルの目が節穴。私が推薦状を書く」
ジョル「なんじゃと? それほどまでに?」
カケル「…………」
ジョル「ふぅむ、ワシにはどこからどう見ても普通より劣る少年にしか見えんが……」
ベニ「この子は、普通の目で見てはだめ。精霊を通して見てみて」
ジョル「……うぅん? どれどれ」
ジョルは杖を取り出し顎先に当てはじめた。
勝手に盛り上がっているところ悪いが、ただの村人Aなんかほっといてくれ! 俺はここを離れて場所乗り場に行きたいんだよ!
ジョル「――……こ、この子は……」
ベニ「ね?」
ジョル「なんということじゃ。全精霊からの加護とは……ワシの目はたしかに節穴じゃった」
ベニ「わかったならいい。さ、行こう」
ジョル「待て、ワシも付いていこう。王宮魔術師二人の推薦ならば選定をはやめてもらえるじゃろうからな」
深く、深く、肺に空気を取り込み、すこしの間を置いてため息を吐き出す。
王宮魔術師がこんな所にいるわけがない……詐欺師かな。仕方ない、この人達に聞くのは諦めて、選定だけ終えたら馬車乗り場をはやく探そう。
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