19: ◆ao.kz0hS/Q[saga]
2017/06/17(土) 21:56:53.95 ID:BGljWOh70
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この日もはぁと一人でスタジオに行ってレギュラーのお仕事をした。
テンションがいつもより上がってたせいか、かなり良い仕事ができたと思う。
それから昼食を摂って、その後は夕方までレッスン。
これまでなら一緒にレッスンをしてた娘たちとご飯食べに行ってから帰宅することが多いんだけど、事務所に用があるってことにして抜け出した。
夕方の事務所は下手すると日中よりも騒がしい。
親が迎えに来るのを待ってる年少組が走り回っていたり、レッスンや仕事の報告を担当プロデューサーにしてる娘がいたり、大人組が飲みに行く前の待ち合わせ場所にしたり。
Pのデスクを覗いてみると、Pは横に立つ愛海ちゃんにこんこんと何かを喋っていた。
愛海ちゃんのしょぼくれた表情のせいで、職員室に呼び出しをくらった生徒と先生みたいな風に見える。
その内容が断片的に聞こえてくる。
「…だから……他の事務所……特に女優さんは……シャレが……訴訟……今回は見逃して…せめてうちの……くるみとか………」
大体把握した☆ というか思った通りだった☆
そういえば勢いで来てしまった訳だけど、愛海ちゃんがいなかったとしても、こんなに人の目がある場所でナイショの会話ができるはずがないことに今になって気付く。
それでも…遠目からでもPの顔が見れただけでもなんだか嬉しくなってしまって…来た甲斐があったかもなんて感じていた。
「…我慢……さもないと………早苗さんか………お注射………あ」
いつの間にか、ぼーっとPを見つめていたみたいで、Pがはぁとへ手を振ってきていたのに気付くのが一瞬遅れた。
そして気付いた瞬間、胸がきゅっと痛くなって、思わず回れ右をして出入り口のドアに向かって歩き始めてしまう。
「心さん? 今日は直帰する予定だったと思いますが、どうかしましたか?」
ドアまであと数歩だったのに、追いついてきたPに声を掛けられてしまっては立ち止まるしかない。
「ぁ…いや…ちょっと…わ、忘れ物! 忘れ物取りに来ただけだから…!」
「あぁ、そうでしたか…なら、いいんですけど」
嘘をつく必要なんてないのに、気恥ずかしさのあまりつい見栄を張ってしまう。
「だから…もう帰る……お、お仕事…頑張るんだぞ☆」
「ありがとうございます。心さんも気を付けて帰ってくださいね」
それでまた回れ右してドアノブに手を伸ばしたところで…
「あ、そうだ。心さん」
「ん?」
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