1: ◆3P1o8JdRMw[saga ]
2017/06/26(月) 23:00:52.33 ID:DTO7WTVj0
アタシこと、城ヶ崎美嘉は迷っていた。
とめどなく流れる汗。呼吸は荒く、心臓がバクバクと脈打っているのが分かる。昔、同じような感覚を経験したことがあるのを思い出す。確かあの時は、髪を染めようと思って、いつも行く美容室に足を運んでいた時だったっけ。
言うならば、「悪いことをする」時の、何とも言えない緊張感。
明日、学校の先生に何か言われるかな? 友達からの反応はどうだろう? 目立つ色にしちゃって、引かれちゃったりしないかな?
そうやって迷って、最終的にアタシは髪を染めた。先生には少し注意されちゃったけど、友達からは好評で、結果、その時染めた髪の色は今でも変わっていない。
でも、今回はそんな簡単にいくものじゃないし、行動を起こしてしまったらどうなってしまうのか予想もつかない。
もし、彼が。途中で起きてしまったら? アタシに失望してしまったら? あるいは――襲われてしまったら?
色々な想像を誤魔化すように、ごくりとつばを飲み込む。静かで穏やかな空間に、その音が聞こえてしまうような気がして、アタシは殊更に緊張感が高まっていくのを感じていた。
こうなったきっかけは少し前に遡る。
2: ◆3P1o8JdRMw[saga ]
2017/06/26(月) 23:10:08.70 ID:DTO7WTVj0
◇
正確な時刻はわからないけど、多分日付が変わるか変わらないかくらいの時間だったはずだ。アタシはそろそろと住んでいる寮から抜け出して、事務所に向かって歩みを進めていた。
3: ◆3P1o8JdRMw[saga ]
2017/06/26(月) 23:11:20.96 ID:DTO7WTVj0
プロデューサー。
死んだような目をしてキーボードを叩いている彼の姿を想像して、ちょっと面白くなった。プロデューサーはアタシの仕事についてくると、いつも「キャラだな」なーんて言ってからかってきて、そのたびにちょっとした口論になるんだけど、別に嫌いなわけじゃない。アタシのやりたい仕事を考えて優先的に持ってきてくれるし、事務員のちひろさんが、
4: ◆3P1o8JdRMw[saga ]
2017/06/26(月) 23:12:42.33 ID:DTO7WTVj0
「中身、見たの?」
当人はいないが、そう口に出してみる。女の子のカバンの中身を勝手に見るなんて……と思ったけど、よくよく考えたらプロデューサーが見たかはわからないし、それに、アタシのバッグだってそもそも知っていた可能性だってある。この件については、次に事務所に来るであろう明後日に言及してやろうと心に誓った。
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