12: ◆vNoifR2vNc[sage]
2018/08/05(日) 18:19:22.40 ID:++ozN2Tl0
「好き、です。Pさん。だい、すき、なんです……っ!」
その告白の瞬間に、智絵里が一瞬作った笑顔は、すぐに涙の波に掻き消えて。
ぽろぽろと、大粒の涙が智絵里の頬を伝い、砂に落ちてゆく。
……俺は馬鹿だ。いくら智絵里が優しいからと言って、ただの"お礼"でここまでの行為に及ぶものか。
……俺は馬鹿だ。目の前の少女を泣かせるまで、その気持ちにも、くだらない理性で蓋をした。
それに気づいた時、もう何も考える必要なんてなかった。
ただ泣いている智絵里の肩を引き寄せて、強く抱き締めた。
「……P、さん……?」
腕の中で、小さな小さなかすれるような声がした。
「智絵里、ありがとう……今、やっと言えるよ。俺も、好きだよ……智絵里」
「ほんとう、ですか……?」
思えば、最初から。スカウトした時から、今までずっと。智絵里が次第に明るく、諦めずに一歩一歩成長していくのを誰よりも近い場所で見てきた。
その智絵里を魅力的に思う気持ちが、プロデューサーとして以上の感情に変化していたのに……ひたすらに感情を押さえつける理由を作り。
ずっと彼女が向けてくれていた視線にも気づかないふりをしてきた。
その智絵里に、ここまで言わせてしまったからには。もう、覚悟を決めるしかなかった。
「ああ、嘘じゃない。ずっと……好きだった」
「うれしい、です……Pさん……えへへ……」
抱きしめているので見えないが。きっと彼女は笑ってくれているのだろう。
愛おしさが胸の奥から溢れて、智絵里の涙がおさまるのも待ちきれずに、彼女の顎を少し持ち上げる。
智絵里はそれに応えるように、ゆっくりと目を閉じた。
そうして、……色々と、順番はあべこべになってしまったけれど。
――智絵里と、初めてのキスをした。
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