とある妄想科学の猟奇殺人(ニュージェネレーション)
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名無しNIPPER
[saga]
2018/12/07(金) 00:44:56.36 ID:BiscX6p50
でも、もう俺は踏み入っている。
だったらもう関係ない。周囲を警戒しながらゆっくりと進んでいく。
先へ進むにつれて臭いはどんどん強くなっている。
もう間違いない。これは、血の臭いだ。
この先には何がある?
御坂妹……正確には別の妹達だが、その無残な有様が頭の中に蘇る。
「……っ、んなこと、分からねぇだろうが……」
頭を振って振り払う。
もしかしたら誰かが大怪我をしていて、すぐに救助が必要な状況になっている可能性だってある。
曲がり角を曲がり、先に進んだ先……そこで、俺は足を止めた。
いや、自然と足が止まってしまった。
「…………」
視線の先。曲がり角から一筋の赤い液体が流れているのが見える。
それに、近づけば近づくほど感じる。
血の臭いだけじゃない。むせ返るほどの死の臭いだ。
(……はは。なんだ、もしかしてビビってんのか、俺……)
僅かに手が震えていた。今まで味わってきたものとはまるで種類の違う恐怖と緊張感。
途轍もない力を持った怪物と対峙するのとは、あまりにも方向性が違いすぎる。
情けねぇぞ、と自分を鼓舞して震える腕を押さえつける。
今までとは比べものにもならないほどの重圧の中、俺は進んでいった。
心臓がうるさいくらいに鳴っているのが分かった。……やっぱり俺は、ビビってる。
俺は、ゆっくりと曲がり角を曲がり。
そして、そこにあったものを見た。
「――――ぅ」
人間が、壁に固定されていた。
至るところに血がついている。どう見たってもう死んでいる。
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