とある妄想科学の猟奇殺人(ニュージェネレーション)
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67:9月24日[saga]
2018/12/23(日) 00:37:31.36 ID:KNZOoLgc0
「……上条は、どこで何してるのかしら。まさか、まさかね」

「…………」

そんなことないから安心して、とは言えなかった。
あり得るのだ、十分に。

もしそうだとするなら……。
決めつけるのは早計だ。

だが、そうでなくても問題はある。
ちらりと近くにいる友人の顔を見てみる。

「…………」

悲しげな、悩ましげな、不安げな、怒っているような、何とも言えない顔。
分かっている。姫神には分かっているのだ。

まだ転校してそう日が経っているとは言えない姫神。
クラスメイトは皆温かかったが、その中でも真っ先に声をかけてくれたのがこの吹寄制理という人だった。

霧ヶ丘女学院という名門校からの転校。転校先はレベル3すらほとんどいない、お世辞にもレベルの高いとは言えない学校。
誰が考えても何かあったのは分かっただろう。

しかし、吹寄はただの一言もそのことについて追及はしてこなかった。
おそらく彼女とて本心では気にはなっていたのだろう。
それでも言葉にも態度にもそれを出さなかった。転校したての姫神を刺激せず、一刻も早く溶け込めるように。

(……嬉しかった)

事情が事情だけに、人に話したいものではなかった。
それに話そうとしたところであまりに突拍子のないものになってしまう。

彼女は他の人間にもそれとなく姫神の事情については踏み込まないよう誘導していたように思う。
もしかしたら吹寄がしなくても他の誰かがしていたかもしれない。それでも、姫神にとってそれをしてくれたのは吹寄なのだ。

だからこそ、姫神には分かっている。
吹寄制理にこんな顔をさせているものの正体を。
彼女は、ただ……。


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