32:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/08(火) 22:14:01.68 ID:PhxU7pY/0
「ねえ、フータロー君」
「なんだ」
にこやかな顔で、一花は。
33:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/08(火) 22:14:50.80 ID:PhxU7pY/0
なんて一言を告げた。
まあ、予想できたことだ。対人関係において培ったアドバンテージを口約束で投げ捨てる人間というのは、きっとそう多くはない。
だからおそらく、俺がここで何かしらの代償を支払うことにより、利益の釣り合いをとるのだろう。それで済むのなら可愛いもので、今後のリスクを考えるならこれは限りなく必要な犠牲だと断言できる。
問題は要求内容がどんなものになるかだったりもするのだが、こと一花において必要以上に無茶なことは起こらないだろう。そのあたりは信用が出来た。
とにかく、時間なり金銭なりで解決できるのならそれに越したことはない。襲い来る脅威をマネジメントするという観点から見れば、ここが一大ターニングポイントであることは疑いようもないのだった。
34:名無しNIPPER[sage]
2019/01/08(火) 22:37:51.65 ID:vepj+xO9o
期待
35:名無しNIPPER[sage]
2019/01/08(火) 22:43:14.90 ID:AWG2gNd70
待ってた
36:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/08(火) 23:53:40.67 ID:PhxU7pY/0
「…………」
「歌わないの?」
「いい……」
「そう?」
37:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/08(火) 23:54:41.91 ID:PhxU7pY/0
「ふー、歌った歌った」
手で作った団扇で自らをぱたぱたあおぎながら備え付けのソファにぼすっと腰を下ろした一花は、そのままの勢いで氷がずいぶんと溶けだしてしまったジュースをあおる。額にはうっすらと汗が浮かんでいるようでもあった。
「どうだった?」
38:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/08(火) 23:55:19.79 ID:PhxU7pY/0
「あー、損ねちゃうなー。機嫌損ねちゃうなー」
「すげー上手かった」
「冗談だって」
くすくす笑う彼女の片手にはスマートフォンが握られていて、俺としてはもう気が気でない。お願いだから脅さないで。
39:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/08(火) 23:55:49.36 ID:PhxU7pY/0
万が一にも有り得る以上、細心の注意を払わないといけない。下手をすれば家庭教師どうこう言っていられなくなるんだから。
「これからずっと私の態度に警戒して接していくの?」
「仕方ないだろ。それ以外に出来ることなんてないし」
「えー、それは息苦しいよ。私も面倒」
40:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/08(火) 23:56:22.58 ID:PhxU7pY/0
酷いデッドロックだ。まるで上手い解決法が見当たらない。どうすりゃいいんだ……と頭を抱えてみたところで、具体的な対応策が生まれてこない。
「そんなフータロー君に朗報です」
「なんだ」
「今ならもの凄く簡単にこの状況をやり過ごす方法があります」
41:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/08(火) 23:56:48.88 ID:PhxU7pY/0
藁にも縋る思いで聞くと、指先でちょいちょいと手招きされる。近寄れということかと勝手に理解して彼女の隣に居場所を移すと、再度の手招き。そこで一瞬考えてから、耳を一花に差し出した。分かりやすい内緒話だ。
彼女は「んっんー」と歌で酷使した喉を整え直してから、俺の耳元にその唇を近づけて、
「…………ふぅ」
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