5: ◆OBrG.Nd2vU[sage]
2019/02/09(土) 19:21:54.55 ID:4CQv0rjX0
あの夜は明けていない。
あの熱は冷めていない。
あの夢から覚めていない。
プロデューサーは狭間を彷徨っている。
夜と朝、夢と現、そして感情と理性。
そのように彼が懊悩している間に収録は無事に終了した。
分岐点が迫る。時が加速する。
これから歌鈴を実家に送らなければならない。
彼女は実家で余暇を過ごす。
自分は東京で余暇を過ごす。
数日間、彼女と会うことはない。
会うことはできない。
分岐点が迫る。時がさらに加速する。
助手席に座る歌鈴。
手が届く場所に存在するのに手が届かない。
手を伸ばせば届くのに。
分岐点。時が止まる。
彼の中で一瞬が引き伸ばされる。
光差す道と夜闇に包まれた道。
彼は選ぶ。光差す道を。
さながら炎の中に飛び込む蛾。
強すぎる光に目が眩んだ故に、彼は選んでしまった。
24Res/20.54 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20