122:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/15(月) 11:07:42.05 ID:SWPDcXJr0
「確かに……俺たちが見たり聞いたりしていたものは、未来じゃなかったかもしれない」
俺の《欠片》が、俺の淡い期待や願望をアンプのように増幅させていたように。
「だけど今、君は窓の外に冬の景色を見ている」
透子の《欠片》は今、透子の不安を映写機のように増大させ、感情とともに制御が利かない状態になっているのだとしたら。
「何かが見えて、聞こえていたことは間違いないんだ」
どんなに得体が知れないイメージでも、気味の悪いヴィジョンでも、《欠片》が内心を映し出す鏡なのだとしたら――それは受け入れなくてはいけない。
「……そうよね」
透子は深く息を吸って、頷き、窓の外を見た。
「何かが起こってるってことは、認めなきゃね」
俺たちは出会った。それは事実、過去だ。
出会って、変化し、今なお変化し続けている。それも事実、現在だ。
その先に、どうなるかわからない未来が待っている。
俺たちはそんな未来に期待を寄せたり、不安を抱いたりするけれど。
いずれにせよ目を背けることはできない。
それは否応なく、いつか必ずやってくる。
果てしなく遠くの、想像もつかない場所なんかじゃない。
今この場所から、俺たちの過去や現在から、地続きの未来。
そんな未来に、俺たちは進んでいかなければならないんだ。
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