125:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/18(木) 09:45:21.43 ID:OU1b3DXA0
<第11話 ピアノ>
窓の外の景色が、照明をゆっくりと落としていくように、薄ぼんやりと明度を失っていく。
美術準備室の中で、俺と透子は棚に背中を預け、並んで座っていた。
教室の扉は開いている。あんなことをしたあとだったから、閉めてしまうと、なんだかうまく息ができないような気がしたのだ。
「びっくりした、嬉しい……」
透子はこんなときでも透子で、感じたことを感じたまま素直に語った。
だからこそ透子の言葉は時々、深々と胸に突き刺さる。
「でも……駆くん、私のこと本当に好きなのかなって」
その問いかけは一瞬で心の奥底まで這いってきた。
透子が、私――、と何か続けて言おうとするが、俺は動揺を抑えられずに自問した。
「俺は……そう思い込もうとしているだけ、なのか?」
俺は透子と出会えて、隣にいて、今まで感じたことのないような安らぎを覚えた。
透子と一緒にいると、胸の中があたたかいもので満たされるように感じた。
好きだ、と思った。
だが、それは巧妙な気持ちのすりかえだったというのか――?
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