127:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/18(木) 09:51:37.56 ID:OU1b3DXA0
「………………」
透子が好き――その気持ちは今、砂上の楼閣のようにぐらぐらと揺れていた。
つまるところ、自信がないから。
土台になるものが何もないから。
本当に深いところでは何も共有できていないから……なのだろう。
「今だって、私の周りには雪が降ってる。でも、駆くんには見えてない」
そう、透子は一つの事実を突きつけてくる。
「私たち、何もわかりあってない」
――分かり合っていない。
《未来の欠片》も、俺のことも、透子のことも。
俺たちは互いのことをほとんど何も知らない。
「……そうだな。俺には雪は見えていない」
透子の抱えている恐怖や不安を、俺は知らない。
透子が、俺の感じてきた孤独を知らないのと同じように。
けれど、そのことに気づけたのは大きな前進ではないだろうか。
俺たちは何も分かり合っていない。分かり合っていないと、わかった。
だから、透子は俺の《唐突な当たり前の孤独》を知りたいと言ってくれた。
俺も、透子の周りに降りしきる雪の冷たさを知りたいと思う。
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