128:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/18(木) 10:29:11.87 ID:OU1b3DXA0
もっと互いのことを確かめて、分かり合いたい。
そう思うと言葉は自然に出てきた。
「今度、母にピアノを弾いてもらおうと思う」
母さんのピアノ――俺にとって、とても特別なもの。
「透子にも来てほしい」
誘うと、透子は快く受けてくれた。
「お母さんのピアノ? ……素敵」
「うん。一応プロだし、本気で弾いてくれると思う。そしたら――」
「そしたら……なに?」
はっきりそうだ、とは言えない。
だが、予感のようなものがあった。
母さんのピアノは、俺の《欠片》の引き金――俺の心と深く結びついているもの。
前に一度、たまたま母さんがピアノを弾く場面に透子と居合わせたとき、俺は逃げ出すように透子をピアノの音が聞こえないところへつれていった。
俺の《欠片》を――本当の気持ちを透子に知られることに躊躇があった。
それを、もう一度、やり直したい。
俺は、俺のことを透子にきちんと知ってほしい。
互いに分かり合うために必要なのは、本音で向き合うことだと思うから。
「来てほしい」
「……そこに行ったら、駆くんと私のことがわかる?」
わかるかもしれない、わからないかもしれない――いずれにせよ決断の時は迫っている――急がねばならない。
「今から母に電話する。明日やってもらおう」
俺は透子に頼んで、携帯電話を貸してもらった。
171Res/212.06 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20