129:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/18(木) 10:43:13.92 ID:OU1b3DXA0
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『沖倉でございます』
電話に出た母さんは、余所行きの声で応じた。
「母さん?」
『駆? どうしたの?』
相手が俺だとわかると、母さんは途端にくだけた調子になる。俺は早速用件を伝えた。
「知り合いになった子がいるんだけど、母さんのピアノ、聴かせてあげてくれないかな」
『あら、珍しい。初めてね、そんなこと言うの』
「……うん」
初めてなのは、当然だ。母さんのピアノを聴くと《欠片》が聞こえる――そのことを隠さなくてもいい相手、それどころか《欠片》を共有できる存在なんて、透子が初めてなのだから。
『いいわよ。どうせだから、何曲か弾こうかな。いらっしゃるなら、ご両親もお呼びしたら?』
透子の両親を呼ぶ――それもまた互いに分かり合うためのいい機会になるだろう。
「……そうだね。ありがとう、母さん」
少しの間が空く。通話を切ろうかどうか迷ったが、母さんが切り出した。
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