13:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/03(水) 23:16:14.15 ID:DvK9a+dU0
<第2話 ベンチ>
「俺はあの日、君と同じものを見た」
そう告げた俺に、透子は何も答えることはなかった。
代わりに反応したのは、周りにいた透子の友人たちだ。
「同じものって……」
カチューシャの彼は、状況についていけない、と戸惑っている様子。
「あんた、透子のなに?」
目つきの鋭い彼は、俺への敵意を隠そうともしない。
「ちょっと」
そんな彼を諌めるのは、気の強そうなリボンの子。だが、彼は構わず質問を重ねた。
「ここにも透子に会いにきたわけ?」
「ああ」
「ああ、って……」
そんなの見ればわかるだろう、と開き直った態度で肯定した俺に、彼は言葉に詰まったようにうめいた。
「どうして場所がわかったの?」
鋭い質問をしてきたのは、眼鏡の女の子。直情的な彼よりも、彼女のほうが手強そうだ。俺は誤解されないよう、なるべく正直に答える。
「ここが君たちのたまり場なんだろう?」
「そうだけど……」
次なる質問はなかった。しかし、会話が途切れたことで、かえって彼らからの視線が痛い。透子の返事はまだ受け取っていないが、これ以上待ってもさらなる面倒が起こるだけだろう。
「明日の十一時、麒麟館の展望台で待ってる」
透子の耳元に囁き、俺は踵を返す。透子が困惑したように振り返り、例の彼氏が声を荒らげて俺を呼び止めたが、一切を無視して俺は店を出た。
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