133:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/18(木) 10:56:15.01 ID:OU1b3DXA0
「あまり遅くならないうちに帰るほうがいい」
「うん」
俺は立ち上がり、透子に別れを告げる。
「じゃあ、明日の午後、うちにきて」
「わかった」
俺は美術準備室を後にする。
教室を出るとき、振り返ると、透子もこちらに振り向いて、俺たちは微笑を交わした。
それから俺は扉を閉めて、昇降口へと歩き出したが……。
こっこ、こっこ、と、一羽の鶏――ジョナサンが、名残惜しそうに足を突いてくる。俺はその鶏冠に触れて、戯れる。
そうしていると、教室の中から透子の声が聞こえてきた。
「あっ、ひなちゃん? ……うん、お願い。明日の朝には必ず帰るから」
明日の朝、という言葉に、帰ろうとしていた足が止まる。
「お母さんたち、心配しないように、よろしく」
気づくと、俺は隣の教室の扉に背を預けていた。
「お願い、じゃあね、切るね」
透子の声が聞こえなくなる。俺は糸が切れたように、すとん、とその場に腰を下ろした。
171Res/212.06 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20