136:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/18(木) 11:08:02.79 ID:OU1b3DXA0
俺は教室を見回す。
そこまできっちりと物が整理されているわけではない。どちらかと言えば、気の赴くままに、雑然とした感じ。
けれど、よく見れば、煌めくもの、美しいものがそこかしこに隠れていて、それらは外に向けてひけらかされることなく、とても大事に、大切に、ひっそりと内に秘められている。
月明かりが射し込む美術準備室は、真っ暗闇というほど暗くはない。おぼろげながら全体が見渡せる。
けれど、光の届かない部屋の隅や戸棚の影は、どんなに目を凝らしても見ることができない。
ここは、そんな、透子の場所。
そこに俺は――ついでに言えばジョナサンも――居ることを許されている。
「……一晩ここにいたら、ここが俺の場所になるかな」
「それは――」
どこにも見つけられなかった俺の居場所――それが、ここにあるなら。
「もし俺の場所ができたら……」
透子の場所に、透子の心に、寄り添うことができたなら。
「《唐突な当たり前の孤独》に、もう出会わなくても済む?」
心のどこかでそう期待していたことは否めない。
透子が好きだから、透子の隣にいたいと願うのか。
透子の隣にいれば一人じゃないと思えるから、透子を好きだと言うのか。
こうしていても自分の気持ちなんてわからないことだらけだ。
ましてや、透子の気持ちなんて俺にどこまで理解できるだろう。
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