137:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/18(木) 11:11:35.08 ID:OU1b3DXA0
俺は窓の外に目をやった。空には三日月が浮かんでいる。
「まだ雪が降ってるのか?」
「……ううん、もう降ってない」
透子はそう言った。
けれど、それが本当かどうか、俺に確かめる術はない。
こんなに強く惹かれるのに、触れ合うほど近くにいるのに、俺は透子と同じものを見ることができない。
分かり合いたい、その想いが強くなればなるほど、本当に分かり合えるのかと、不安も大きくなっていく。
俺は今、確かに、透子の隣にいる。
満たされている、そう感じるのに。
一抹の寂しさが、消えてくれない。
「………………」
考え込んでいると、透子が俺の肩に頭を預けて、すやすやと寝息を立て始めた。
最初こそ意識したが、しばらくすると慣れてきたのか、俺も瞼が重くなってくる。
姿勢をまっすぐに保てなくなって、とうとう透子のほうに重心が傾く。
人という字はなんとやら、俺と透子は絶妙な加減で釣り合いを保ち、均衡を得る。
冴えた月明かりの射す教室、なのに陽だまりの中にいるような、穏やかな気持ちになる。
けれど、どうしてなのだろう。
まるで趣味の悪い騙し絵のように。
胸の中には、いっぱいの安らかさとともに、同じだけの怖さが、溶け込んでいた。
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