153:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/20(土) 13:40:23.49 ID:e2KAc5lx0
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残ってどうするのかと思ったら、透子はまたしても予想もつかないことを言い出した。
「えっ? もう一曲?」
もう一度ピアノを聴かせてほしい――さすがの母さんも、ちょっと驚いたようだった。
「はい、お願いします。それを聴いたら、帰ります」
「大丈夫なのか……?」
たまらず俺は訊くが、透子は「うん」と力強く頷いて、母さんに熱っぽくリクエストする。
「あの、えっと……すごく、ドラマチックなのをっ!」
これは一体、どういうことなのだろう――。
「はい、わかりました」
笑顔でピアノの前につく母さん。
透子は椅子に座り、居住まいを正して演奏を待つ。
俺は棒立ちのまま、そんな透子を見ていることしかできない。
再び母さんの演奏が始まる。
選ばれたのは、幻想即興曲。
一度目と同様、俺には何も見えなかったし、聞こえてこなかった。
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