157:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/20(土) 14:00:58.24 ID:e2KAc5lx0
「それに、透子の存在が必要だったことは確かだ」
俺は透子と出会い、ついには《欠片》も聞こえなくなった。
その過程で彼女には随分と助けられた。
透子は俺にたくさんのことを教えてくれた。
透子を失いたくない。別れたくない。そう思った、けれど――。
「だけど俺がいなければ、透子はこんな目に遭わなかった」
結果的に見れば、俺は透子を混乱させ、不安にさせてばかりだった。
「……俺が透子を傷つけた」
散々振り回したあげく、《欠片》がなんだったのかはわからないまま。
出会った意味も、そのあとに起きた変化の理由も、どうするのが正解だったのかも、わからない。
俺は透子に何も返せていない――彼女が何を望み、何が彼女の幸せになるのかも、わからない。
「俺には……透子が何を見たのか思いもつかないんだ」
演奏の後、なんでもない、と口を閉ざした透子。
あのとき瞳の奥で揺れていた透子の本当の気持ちに、手が届かない。
どこに行っても、思い出を分かち合えない。
誰と出会っても、想いを分かり合えない。
そんな自分がたまらなく嫌になる。
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