161:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/20(土) 14:15:58.67 ID:e2KAc5lx0
「今日、流星群が見られるらしい。花火みたいに見えたら最高かな」
「また一緒に、花火が見られたらいいね」
来年の花火をまた二人で――透子の願いに応えられないことに、胸が痛む。
だから、せめて最後くらいは、そう思ったけれど、これまでの行いが悪かったのだろう。
「……この空じゃ、無理か」
見上げれば、灰色の雲が、幕を下ろしたように空を覆っている。
「冬の花火を――」
一瞬、透子がなんと言ったのかわからなくて、振り返り、聞き返した。
「えっ……冬の?」
「《未来の欠片》の中でね、冬の花火をみんなで見に行こうって」
俺を見て、微笑みかける透子。
その口から語られたのは、昨日、母さんのピアノを聴いたときに見た《欠片》のこと。
いつものメンバーで、冬の花火を見ようと約束したらしい。
「見たのか?」
「うん」
小さく頷くと、透子は切なげに目を細め、どこか遠くのほうを見る。
「一人で見た」
一人で? 透子が? なぜ――。
「みんなは?」
そう訊くと、透子は力なく俯く。
「私に気づいてくれなくて……」
寂しげで、何もかも諦めたような、透子の横顔。
幼い頃の俺がそこにいるようで、胸が締めつけられた。
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