162:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/20(土) 14:18:39.27 ID:e2KAc5lx0
「そうか……。一人で見たのか」
あの時、俺はみんなと確かに約束した。
『一緒に花火を見に行こう』
なのに、祭りの当日になって、はしゃぐみんなは俺のことなど忘れてしまって。
「一人で見る花火……初めてだった」
すれ違っても、声を掛けても、気づいてくれなくて……俺は――。
「唐突な、当たり前の孤独、だったかも」
あの時の、どうしようもない心細さを。
寂しさや切なさ、もどかしさを。
透子は《未来の欠片》の中で感じてきたというのか……?
「――その花火、俺も見たかったな」
少しでも励ましになればとそう言うと、透子は穏やかな顔で振り向いた。
「駆くんも見てたよ、みんなと」
透子は、《欠片》を見たというより、もっと壮大な――異なる世界を渡ってきたかのように話す。
その世界で、俺はいつものメンバーと仲が良かったらしい。
そして透子のほうが、他から来た流れ者だった。
ガラス球の向こうにある景色のような、現実とあべこべにズレたところ。
冬に打ち上がる花火のように、交わるはずのないもの同士が奇妙に融和した、不思議な世界。
そんな世界で、俺はみんなと花火を見ていた――そう、透子は言う。
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