19:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/04(木) 00:00:56.70 ID:dmglIwuH0
*
クーラーの効いた室内から外に出た瞬間、痛いほどの日差しが肌を焦がした。
「暑い……」
自ら進んで外に出たはずの透子だが、早くも後悔しているようだった。
どこまでも飾らないというか、感情がそのまま表に出るというか、少し抜けてるというか。
その屈託のない横顔を見ているうちに、俺は自分が彼女にひどい詐欺を働いているような、心苦しい気持ちになってくる。
「俺、透子に謝りたいことがある」
「え?」
いきなり謝罪を申し出られた透子は、そうだっ、と見当をつけて、まったく見当外れのことを言った。
「あんな一方的に約束して、もし来なかったらどうするつもりだったの?」
「そのときは何度でも会いに行くさ」
なぜそんなわかりきったことを訊くのだろう。
まあ、それはいいとして、まずは謝罪からだ。
「今日、少し油断してたんだ。だから、透子の《声》を聞いてしまった。ごめん」
「あの、意味がよく……」
「断りもなく、未来の《声》を聞いてしまったから」
「私の、未来の声?」
「うん」
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