26:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/07(日) 10:02:17.87 ID:4h98r15f0
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山登りは、元々は父さんの趣味だった。
子供の頃は、正直、父さんとの山登りにはあまり気が乗らなかった。
大人の足ならなんてことのない山道も、子供の足にはかなりきつかった。景色だってほとんどの道のりはただ木々が見えるだけで退屈だった。
それでも、一度習慣になったことは、なかなか抜けないもので。
一人になりたいとき、考えを整理したいとき、気分を変えたいとき、俺の足は自然と山へ向いた。
丈夫な靴とバックパックがあれば事足りるくらいの、そう高くない、街からもさほど離れていない山を、散歩感覚でぶらぶらと巡る。
身体が成長し、歩幅が大きくなるにつれ、それは俺自身の趣味になっていった。
しっかり自分の足で歩けるようになったことで、物事の感じ方や、景色の見え方が変わったのだろう。
大人になるって、たぶん、こういうことなんだと思う。
背が伸びて、力がついて、色んなことを知って、苦手だったことも楽しめるようになる。
けれど、それでも、まだ歩くことを覚えただけ。
自由に飛び回る母さんの背中は、今もなお、ずっと遠くにある。
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