30:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/07(日) 10:35:19.41 ID:4h98r15f0
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「ごめんね、来てもらったのに追い返すような……」
「別に気にしなくていい」
少なくとも、透子とガラスの関わりについてわかったのは収穫だった。
それより気がかりなのは、透子が『未来を見たい』といった理由のほうだ。
何か、透子にとって重大なことが起きたのではないかと思ったのだが――。
「私、やなちゃんとゆきくんの未来を見たかったの」
ぽつりと、そう零す透子。
ゆきくん――その名がイミユキナリと繋がった瞬間、走り去っていく彼の背中が、脳裏に蘇った。
「……イミユキナリに、告白されでもした?」
鎌をかけてみる。すると透子は丸々と目を見開いて、
「なあっ……!? なぜそれを!?」
と大げさな身振りで驚愕をあらわにした。
彼女の感情表現の大胆さと豊かさに、俺は少し笑ってしまう。
だが、もちろん、端からは可笑しく見えたって、当人にとっては冗談では済まない。
俺に言い当てられた衝撃が収まると、透子は深刻な表情で事情を話した。
「やなちゃん、ゆきくんに好きな人がいるって気づいて、私に相談してくれたの」
イミユキナリの好きな人――そんな存在がいるとすれば、透子以外にありえないだろう。
カゼミチという喫茶店で彼を見たときから、その可能性は考慮していた。
なにせ彼は、あんなにもわかりやすく、透子に話しかける俺を睨んできたのだから。
「恐らく、気づいてなかったのは君だけだろうね」
「えぇ……?」
カチューシャの彼はわからないが、やなちゃんというリボンの子が気づいたのなら、きっと永宮も気づいているだろう。
まあ、透子がその方面に疎いのは仕方あるまい。
いま考えるべきは、直面している問題をどう解決するかだ。
イミユキナリが透子に告白したのは、俺の出現も原因の一つなのだろうし。
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