31:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/07(日) 10:46:36.55 ID:4h98r15f0
「透子は彼らの未来を見て、どうするつもりだった?」
『どうする?』――麒麟館での透子の問いかけが脳内に反響する。
《未来の欠片》を手段にして現実を変えようとする透子。
《未来の欠片》そのものを追い求める俺とは違う。
そんな彼女は一体何を求め、何を願うというのだろう?
「離ればなれにならなくて済む方法を考えたくて……」
真剣な面持ちでそう答える透子は、やはり、俺とは根本から違っていた。
離ればなれになりたくない――なんて、俺にはまず思い至らない。
「……叶うかどうかはともかく」
仲間思いで、純粋で、自分の気持ちに正直で、流されやすく脆そうに見えるのに、その核は頑として堅固。
仲間と呼べる者はなく、ひねくれ者で、嘘も平気でつけて、自分本位のように振る舞っているのに、中心を覗いてみればそこには何もない。
別離を繰り返し、そのたびに色々なことを諦めてきた俺と、透子は、真逆の存在。
「何事にも懸命なのは、君の美点だな」
透子は俺にないものばかり持っている。
それは、しかし、不思議と嫌な感覚ではなかった。
ちょうど工房の外からそうしていたように、何事にも一生懸命な彼女を、俺はいつまでも見つめていたいと思った。
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