32:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/07(日) 10:56:12.58 ID:4h98r15f0
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「ここでいいよ、ありがとう」
見送りは透子の家の敷地から出たところで固辞した。と、透子に呼び止められる。
「明日、山にみんなで行くの!」
喫茶店にいたメンバーでハイキング――それがどうかしたのだろう。イミユキナリと会っても気まずくならない方法とかなら、対症療法は思いつくが……。
「沖倉くんも行かない?」
……本当に、この子は予想もつかないことばかり言う。
「どうして?」
「えっ!? ……その、こっちに来て友達とか、まだ少ないかなー、とか……」
純粋な好意からのお誘いだったらしい。
一瞬、イミユキナリと対決させられるのかとも思ったが、自意識過剰だったようだ。
まあ、透子にその気はなくたって、俺が飛び入りで参加したら彼は黙っていないだろう。
もちろん透子の気持ちは嬉しい。が、だからこそ俺はできるだけそっけなく返した。
「山には、一人で登るようにしてるんだ」
角が立たない言い訳を探したが、咄嗟に思いついたのはこれくらいだった。
すげなく断られた透子は、あからさまにショックを受けていた。その心細げな俯き顔を見ていると、前言を撤回したくなる。だが、不可能だ。仲良しグループの和をいたずらにかき乱すような真似はしたくない。透子には悪いが――。
「……じゃあ、また」
後ろめたい気持ちを抱えながら、俺は透子に背を向けた。
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