35:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/07(日) 11:23:59.70 ID:4h98r15f0
<第4話 坂道>
庭に張ったテントで寝起きすることにも、少しずつ慣れてきた。
日が昇り、まどろみの心地よさと、覚醒しようとする意思とが、いつものように戦っていると、
「どうだ、住み心地は?」
そう、テントの入り口から父さんが顔を出した。
「おはよう。思ったほど悪くないよ」
少なくとも夏の間は保つだろう。その先のことは――まだ、わからない。
「虫、食わないか」
「ああ。……ん?」
気遣う父さんの背後から、耳慣れた旋律。
早朝に聴く、夜想曲。
それは、日乃出浜に沈む夕日のように。
あるいは、麒麟館に飾られていた、エッシャーの『昼と夜』のように。
性質の異なるもの同士の、奇妙な融和だった。
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