36:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/07(日) 11:28:07.43 ID:4h98r15f0
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「長いこと、おまえには迷惑かけたな」
芳ばしく薫るハムを皿に盛りつけながら、父さんはそんなことを言った。
「朝からなんだよ」
「いや、これから一緒に暮らすわけだしな。最初に少し真面目な話をしたほうがいいかと思ってな」
改まって、なんの話だろう――まあ、候補は限られるが。
俺は父さん特製の炙りハムに舌鼓を打ちつつ、続きを待った。
「一般的には、親の都合で子供が右往左往させられるのは……」
「扶養家族だし。まあ、ある程度は仕方ないことだよね」
「そう言ってくれると助かるよ」
父さんの口元がふっと安堵に緩む。しかし、それはすぐ真剣な表情に変わった。
「だが、それも子供が小さくて自立できないときの話だ」
真面目な話とは、俺の進路のことだった。
確かに、今までの俺は、父さんの言葉を借りるなら、親の都合に合わせて生活せざるをえなかった。
だが、高校を卒業して大人になれば、話は別。
どこで、何をして、どう生きるのか、それは俺自身が決めること。
わかってる。俺が父さんのところへやってきたのは、それを考えるためなのだから。
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