65:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 12:43:08.86 ID:W+HAaMa50
*
しばらくその場に立ち尽くしていたが、乱れた心中はなかなか治らなかった。
じっとしていても仕方がない――俺は足元に気をつけながら、急な階段を下りていく。すると、
「あっ……」
間がいいのか悪いのか、息を切らした透子と出くわした。
心配そうに揺らいでいた視線が、俺の頬のあたりでぴたりと止まる。
「……どうしたの、それ?」
君を巡って井美雪哉と揉めた、とはさすがに言えない。
「とりあえず、痛かった」
「なんでこんな……」
透子は困惑しながらも、すぐに事情を察して、驚愕に目を見開いた。
「まさか、まさかまさか、ゆきくんに……?」
ああ、と俺は頷く。ひどい……、と透子は震える声で呟いた。ショックに青くなっている顔を見て、俺は白状する。
「いや、俺が言い過ぎたんだ」
「えっ?」
俺が井美雪哉を擁護したように聞こえたのか、透子は意外そうな声を上げる。俺はさっさとこの話を切り上げたくて、微妙に話題をズラした。
「高山は彼に、自分の気持ちを伝えたみたいだね」
しかし、透子は悲しげに俯いてしまう。
「私、ゆきくんにひどいことしてるのかな……」
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