69:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 13:00:37.07 ID:W+HAaMa50
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例の高台までやってきて、乱れた息を整えると、俺は草の上に寝転がった。
透子は俺の隣に腰を落ち着けて、同じように呼吸を整えている。
「ここに来ると、落ち着くんだ」
ようやく人心地つけた気がして、俺はそうこぼした。透子も笑顔で同意してくれた。
「……わかるよ」
透子は足を伸ばし、空を見上げて尋ねてきた。
「お母さんって、どんな人?」
「そうだな……一か所に留まらない人かな。職業柄なのか、人柄なのか、わからないけど」
「活発な人なんだね」
「幼い俺には、母が何をしても正しいことをしているように見えた――なんていうと、マザコンなのかな」
「まさか。私もそう思うときあるよ」
風が吹き抜ける。俺は透子の様子を伺いつつ、間を埋めるように、聞きそびれていたことを訊いた。
「二度も電話したけど、例の透子の用事、そろそろ教えてくれないか?」
「ごめん、二回とも、ちゃんと話せなくて……」
透子は少し硬い声で語り出す。
「さっちゃん、入院するんだって。さっちゃんは検査入院だから心配ないって言うんだけど、入院してる未来も見ちゃったし」
「……心配、なんだな」
「うん……」
友達思いで、懸命で、優しい透子。
透子はいつも他人の心配ばかりしているように思う。
高山のこと、永宮のこと、井美のこと。もしかしたら、カチューシャの彼のことも。
しかし、なら、俺のことは……?
透子は、突然現れた俺のことを、どれほど気にかけてくれているのか?
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