70:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 13:06:03.49 ID:W+HAaMa50
そう疑問を抱いた直後、無粋な電子音が穏やかな空気に割って入った。
「あっ――もしもし、ゆきくん?」
電話の相手は、井美雪哉らしかった。
「……沖倉くんを殴ったことでしょ?」
二人は俺の話をしているらしい。「いま一緒にいる」と透子が言ったところで、俺は透子から彼女の電話を取り上げた。
「えっ?」
突然のことにぽかんと固まる透子。俺は電話の向こうの井美雪哉に、一方的に告げる。
「校庭に来い。はっきりさせよう」
そして彼の返事も聞かずに通話を切った。
――はっきりさせよう。
思わず、失笑したくなるような、安っぽい台詞だ。
それは、確固たる意志で以って前に進もうという、勇ましい決意表明なんかでは、決してない。
後に引けない状況に自らを追いやることで、無理にでも答えを出そうという、姑息な売り言葉。
「……透子は俺の味方だろ?」
不安に胸がざわつき、尋ねる。
困惑する透子からの答えはない。
それでも、もう後戻りはできない。
俺はほとんど自棄になって、大股に歩き出した。
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