72:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 13:15:18.92 ID:W+HAaMa50
ここまで言われて、彼が黙っていられるわけがない。現に彼は拳を握ってわなわなと震えている。
そう、それでいい――俺の口元が意地悪く歪む――そうして激情に任せ、拳を振り上げ、俺に襲いかかってこい――!
「……っ!?」
直後、俺の前に立ったのは、井美雪哉でも透子でもなく、高山やなぎだった。
――ぱぁん!
目が覚めるような、いい音がした。
「どうせ走る気なんてないんでしょ!? 何が目的かは知らない! けど、あんたの取ったやり方は最っ低!!」
グラウンド中に響き渡るような大声でそう叫んだ高山は、俺の浅はかな心を見限ったように踵を返した。
「……帰ろ」
高山は井美雪哉の手を取り、有無を言わせず彼を連れ去っていく。
打ち捨てられた空き缶のようにグラウンドに残された俺は、激しい自己嫌悪に襲われた。
そのとき、視界の端に透子が高山を追って動き出すのが見えて、
「――行くなっ!!」
「っ……」
自分でも驚くほど、大きな声が出た。
透子がびっくりしたように振り返る。
俺は祈るような気持ちで透子を見つめた。
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