71:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 13:11:42.55 ID:W+HAaMa50
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俺と透子が学校に着いたとき、井美雪哉は既に校庭にいた。
俺は、決闘に向かう闘技者というよりは、法廷に立たされる被告人のような気持ちで、彼の前に立つ。
透子はどうしていいのかわからずにおろおろしていた。時折校門のほうに目をやるのは、途中で電話を掛けていた高山を待っているのだろう。
一触即発の危うい空気が漂う中、最初に言葉を発したのは井美雪哉だった。
「突然殴ったことは謝る。悪かった」
正々堂々、筋は通すとばかりに、彼は手を出したことを謝罪した。
むろん、あのとき俺は殴られるようなことを故意に口にしたわけで、そこに関して彼を咎めるつもりはない。
ただ、せいぜい状況は利用させてもらう。悪く思うなよ、井美雪哉。
「あっ、やなちゃん!」
透子の声で高山が来たことを知る。これで役者は揃った。
「……本当に悪いと思っているなら、俺と勝負しないか?」
そう切り出すと、井美雪哉は俺の意図を探るように目を細めた。
「ちょうど、ここにはいいグラウンドがある」
井美雪哉は俺の言わんとすることを理解し、ぴくりと眉根を寄せた。
「っ……走る? おまえが、俺と……?」
「君が本気になれるのは、走ることくらいだろう」
「っ――!?」
暗に、今の彼が高山の告白に真摯に向き合えていないであろうことを指摘する。神社でも一度触れている逆鱗だ。頭に来ないわけがない。俺はさらに畳み掛ける。
「君が勝てば、俺はもう二度と透子には会わない。俺が勝てば、透子は俺のものだ」
そして最後に、駄目を押した。
「君には、高山がいる。わざと負けても構わない」
「っ――――!!」
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