75:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 13:29:44.63 ID:W+HAaMa50
「あれを《未来の欠片》と名付けたのは、俺にとって、あれが自分に欠けているピースのような存在だと思ったからなんだ」
どこに行っても、自分のいるべき場所はここではないような気がしていた。
そんな中で聞こえてくる《未来の欠片》は、俺が向かうべき場所――俺がいていい場所を指し示す、道しるべのように思えた。
童話に出てくるちぎったパンのかけらのように、それを拾い集めていけば、いつか辿りつくのではないかと。
この胸にぽっかりと空いた穴を、埋めてくれるのではないかと。
最後にはジグソーパズルが完成するように、弱々しく、不完全な俺でも、強く安定した形になれるのではないかと。
そう思って、長い間、儚い願かけのように、俺は《未来の欠片》に耳を傾けてきた。
「でも、そのピースも、弱々しいただの音だったり、人の声だったり、それ以上のものじゃなかった」
何もわからなかった。
何も変わらなかった。
《未来の欠片》の本当の意味も、その行く先も、不完全な俺自身も。
手がかりさえ掴めないまま時が過ぎて、いくつもの街を通り過ぎて、その間もずっと胸の内が晴れることはなかった。
もはや、俺の居場所は永遠に見つからないのだ、と。
そう、思っていた。
「透子と、会うまでは」
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