【グラスリップ】透子「かけるくん?」
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8:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/03(水) 20:51:08.02 ID:DvK9a+dU0
「ここは港町だし、猫もたくさんいる。――襲われる可能性は考えない?」

「魚でお腹いっぱいだから大丈夫っ! ……たぶん。今まで猫に襲われたっていう話、聞いてないし……」

「猫以外は?」

 直接的な外敵なんかではない。

 もっと概念的なものに、不意に襲われる可能性。

「ジョナサンは飛んで逃げ――」

 そう言いかけて、彼女は俺のことを見、ぎょっとしたように表情を強張らせる。

「へ……?」

 自分でもわかっている。こんなの、幼稚な八つ当たりでしかないと。

 本気で彼女を困らせたいわけでも、ジョナサンを傷つけたいわけでもない。

 それでも、つい、試したいと思ってしまった。

「いったいなに!?」

 俺の醸し出す不穏な雰囲気に、彼女が焦ったような声を出す。

「……飛んで逃げるんだろ」

 他にどうしようもないなら、そうするしかないだろう。

「俺は敵? 味方?」

 唐突に現れる、強大で、自分ではとても太刀打ちできない、何か。

 ちょうど、ジョナサンにとっての、今の俺のような。 

 そんなものに襲われたときには、どうするのが正解なのだろう。

 敵として、戦いを挑んで必死に抗えばいいのか?

 味方のように、自らの一部として受け入れるしかないのか?

 それとも、飛び立って、捉われないよう、どこまでも逃げる?

 ジョナサンは、どうするだろう? 俺はどうすればよかった? あるいは彼女なら――。



「それならジョナサンは、私が守るからっ!」



 想定していなかった答えに、面食らった俺は、言葉を失った。

 ……守る? 君が――?

 彼女はジョナサンを庇うように俺の前に立ち塞がり、決意に満ちた瞳で見つめてくる。

 素直で、暢気そうで、少し天然風な女の子――そんな素朴な印象が、上書きされる。

 俺の《未来の欠片》に何らかの変化を齎したかもしれない存在。

 フカミトウコは、どうやら、かなり変わった子のようだった。


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