9:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/03(水) 20:57:42.87 ID:DvK9a+dU0
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あんなことをしでかして、結局、俺は彼女に《未来の欠片》のことを切り出せずに終わった。
けれど、もちろん、一歩目で躓いたくらいで諦めるつもりはない。
狭い街だからだろう、少し聞き込みをするだけで情報は手に入った。
彼女――深水透子は、普段はカゼマチという喫茶店に数人の仲間とたむろしているらしい。
早速、俺はその喫茶店を訪れた。
からん、と、どこか懐かしい音色でカウベルが鳴る。
「いらっしゃいませー」
すらりと背の高い、大きなリボンが特徴的な子に迎えられ、好きな席に座るよう案内される。
俺は手近な席に落ち着いて、店内を見回す。すると、奥のテーブル席に透子の後ろ姿を見つけた。
話しかけるタイミングを伺っているうちに、先ほどのリボンの子がエプロンを脱いで透子のいる席へ向かう。
俺は静かに席を立った。
「なんでいきなりあんなことしようと思ったの?」
「えっと……転校生がね、三年で、ダビデみたいな――」
近づくにつれ、壁で遮られていたテーブル席の様子が見えてくる。
集まっているのは、透子とリボンの子を含めて、五人。
最初に俺に気づいたのは、透子の正面に座るリボンの子だった。
「……ん?」
そして最後に振り返ったのが、当の本人。
「俺のこと?」
「あっ……!?」
背後から話しかけたせいか、透子はかなり驚いた様子だったが、わりあいすぐに気を取り直し、物言いたげな仲間たちのほうへ向き直った。
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