80:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/09(火) 20:55:27.00 ID:W+HAaMa50
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麒麟館にやってくると、透子は熱心にエッシャーの絵を眺めていた。
声を掛けると、嬉しそうに振り返り、そのまま俺を外に連れ出した。
前と同じように、外に出るなり、暑い、と透子は言う。
手を庇にして空を見上げ、それから、あっ、と何かを見つけて声を上げる。
どうやらツバメが飛んでいたらしい。軒下に巣があることを教えたら、やけに感心された。
「あんなとこにツバメの巣があったなんて全然知らなかった。あっ、ヒナがいる!」
「……みたいだな。二羽、確認している」
ツバメは渡り鳥だ。あの雛たちもやがて巣立ちして、夏が終わる頃には南へ旅立つのだろう。
夏が終わる頃――そのとき、俺や透子はどうなっているだろうか。
頭の片隅でそんなことを考えつつ、俺は透子と展望台を巡っていく。
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