81:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/09(火) 21:00:09.21 ID:W+HAaMa50
「なんか、私ずっとここで暮らしてるのに、駆くんのほうがいろんなこと知ってるみたいで、なんか悔しい」
唇を尖らせる透子から、海岸沿いの平地に寄り集まる家々に視線を移して、俺は少し感傷的な気分で言った。
「この街の些細なことを知ったからって、透子が暮らしてきた事実に比べたら、つまらないことだよ」
すると、透子は「えっ?」と意外そうに目を丸くして、
「そんなことないよ、駆くん、すごいよ」
と力強く励ましてくれる。
そのことに甘やかな心地よさを覚えるが、昨日の一件を思い出し、反省した。
いたずらに自己否定して、それを誰かに肯定してもらうこと。
自分を守ってくれる誰かがいると確認することは、実際、麻薬のような危うい快楽を得られる。
しかし、俺のそうした自分本位で甘えた思考が昨日の騒動を引き起こした。
結果的に、こうして透子との関係が深まりはしたけれど――。
「俺、なんか恥ずかしいところ見せた」
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