96:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/13(土) 23:48:14.96 ID:sOMkQtx30
改めて、《未来の欠片》について考えを巡らせる。
麒麟館で透子から『落ちる俺』を見たと聞かされてから、俺はずっと考えていた。
《未来の欠片》は、必ずしも確定した未来を示すものではなく。
その内容は、見聞きする当人の精神状態に左右されるのかもしれない、と。
俺はずっと自分の場所を求めてきたが、透子に出会う以前、その『場所』というのは具体性を伴わない、漠然とした夢想のようなものでしかなかった。
そして透子に出会う以前の《未来の欠片》も同様、はっきりとしない、曖昧な《声》でしかなかった。
それが透子と出会い、彼女に惹かれるにつれ、俺は彼女の隣にいたいと強く願うようになった。
すると《未来の欠片》はそれに呼応するように、透子の《声》ばかりを、それもはっきりとした《声》を、俺に届けるようになった。
透子にしても、高山や永宮の未来を見たのは、それがその時の透子にとって重要な関心事だったから。
俺の姿を頻繁に見るようになったのも、俺のことを考える頻度が増えたからと考えれば説明がつく。
《未来の欠片》に、その時々の当人の感情が影響を及ぼすのだとすれば、求められるのは現時点での懸念を晴らすことだろう。
『落ちる俺』が見えたなら、『落ちる俺』という未来を回避するのではなく、あの時の透子が『落ちる俺』を見た理由のほうを突き止めて、解消するのが正しい対処なのではないか。
海で見た不吉な《未来の欠片》も、解決すべきは、あんなものを見てしまう現在の透子の心理なのではないか。
そのためには、今よりもっと、透子の内面に踏み込んでいく必要がある。
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