97:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/13(土) 23:51:47.29 ID:sOMkQtx30
「――こないだここで、ほんとこんな感じでスケッチしてたら、ゆきくんと会ったの」
ぽつ、と透子が静かに語り出す。俺は耳を傾ける。
「それで、美術準備室に二人でコンテ取りに行って……」
しりすぼみに声が小さくなっていく。見ると、俯く透子の顔は赤かった。
「……で、その美術準備室で……」
透子は、ためらいがちに、そのときのことを話してくれた。
透子はそこで、井美雪哉に俺のことを尋ねられたという。
気になっているのか、と。
好きなのか、と。
「で、私、自分でもびっくりしちゃって――」
恐らくは、透子が俺のことを意識したのは、そのときが初めてだったのだろう。
……ひょっとすると、これは透子の気持ちを知る手がかりになるかもしれない。
「あっ、またゆきくんの話……」
下を向いて考え込んでいた俺を見て、気を悪くしたと誤解したのか、透子が落ち込んだように呟く。
まあ、井美雪哉と二人きりだったのは気にならなくはないが――いま重要なのはそこではない。
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